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梵語の文法書と読本

和書

1.辻直四郎, 『サンスクリット文法』(岩波全書), 岩波書店
  Macdonellから直々に梵語を伝授された著者による,古典梵語を学ぶ人にとってバイブルともいうべき書物。ただし,解説は圧縮されていてこれだけで独習することは不可能に近い。真言宗の豊山原典研究所から,索引も刊行されている。

2.J. ゴンダ,『サンスクリット語初等文法』,鎧淳訳,春秋社
  世界の大学で一番使われていると思われる書の翻訳。大学等の授業のテキストには最適であるが,答がないので独習には不適。選文も読みごたえがあって面白い。

3.辻直四郎, 『サンスクリット読本』,春秋社
  本文,語彙,翻訳・注記の3部に分かれており,授業のテキストとしては薦められるが,独習はつらいかも(私もパンチャタントラしか読んでません)。永らく絶版になっている。

4.菅沼晃, 『新・サンスクリットの基礎(上)(下)』, 平河出版社
  解説は懇切丁寧で,独習者向けへの配慮もある。ただしそれがときには冗長と感じられる場合もあり,常に2冊携えなければ使えないのは不便。

5.菅沼晃,『(増補改訂)サンスクリット購読:インド思想篇』,平河出版社
  懇切丁寧な注記と解説は独習者にはありがたい。反面,すぐに答えが見られるので授業では使われない。

6.J. ゴンダ,『サンスクリット叙事詩・プラーナ読本』,鎧淳改訂・註,法蔵館
  マハーバーラタとプラーナ文献の読本。語彙集も刊行予定と聞くので,それが出れば読本として利用できるが,現時点では推薦しがたい。

7.二宮睦雄,『サンスクリット語の構文と語法:印欧語比較シンタックス』,平河出版社
  主としてSpeijerのSyntaxに依拠して書かれたもの。語句解説が詳しいので,初心者にはSpeijerの手引きとしても使える。

8.岩本裕,『サンスクリット文法』,山喜房仏書林,1956
  辻(1),ゴンダ(2)が出るまでは,簡潔・明解な文法として重宝されたであろうが,現在は絶版。

9.岩本裕,『サンスクリット読本』,山喜房仏書林,1957
  マハー・バーラタの一角仙人物語から碑文まで一冊で学べる読本(語彙付き)。インド哲学・仏教研究者でもこの程度の文学作品は読んでもらいたい,との願いで作られた書(残念ながら私もまだ読んでません)。絶版。

10.平岡昇修,『サンスクリット・トレーニング』,全4巻(4巻目はCD),世界聖典刊行協会
  実習書として,書き込みができるようになっている。私は分厚さにしりごみしたが,暇を持て余している人にはお奨め。CDでは,インド人の発音が聞ける。

11.今澤慈海,『表解詳説梵文典』,成田山新勝寺,全2巻,1958
  日本語で書かれた文法としては最も詳しいもの。著者は日比谷図書館の館長を勤めた図書館学者。「Skt.とは」と題する序章は当時の研究成果を要約しているので有益。発音の解説も丁寧。本の大きさ(B4版)と重さが難点。値段的にも(古本屋で10万以上の値がついている),あまりお薦めはできない。

12.齋藤光純,『サンスクリット語初等文法摘要』,ノンブル社,2003,p. 205. [NEW !]
  2のゴンダ『サンスクリット語初等文法』に相当する内容を図式化してやや詳しくしたもの。レベル的にはゴンダ以上,辻未満といった感じだが,ぶ厚くないので実際に原典を読むときのハンドブックとして有用。山喜房佛書林(東大赤門前)で3000円で売っている。

13.鎧淳,『ナラ王物語:サンスクリット・テクスト,註解,語彙集,韻律考ほか』,春秋社,2003, p. 359. [NEW !]
  マハーバーラタの「ナラ王物語」の読本。語彙や解説が詳しいので初心者にも使えるが,註解はかなり細かい点にまで言及しており,専門家にとっても有用と思われる(私はまだちゃんと読んでませんが)。


洋書

1.J. Wackernagel & A. Debrunner, "Altindische Grammatik", 序説1巻,本文3巻(4分冊),索引1巻,Göttingen,1896-
  最高水準の文法書。記述の精密さに関しては他の追随を許さない。ただし残念なことに,動詞・副詞の巻は未刊であり,近々刊行されるという話も聞こえてこない。そのうえ,値段も全部で10万円程度になるが,梵語のスペシャリストになろうとする人はぜひ持っていたい。索引も刊行されていて至便。

2.A. A. Macdonell, "A Sanskrit Grammar for Students"
  古典梵語を習得するために必要十分な情報が掲載されている。ときに辻文法より詳しいこともあるので,持っていて損はない。

3.A. A. Macdonell, "Vedic Grammar for Students"
  ヴェーダ語を習得するための基本事項が網羅されている。インド版は安いのでぜひ持っていたい。

4.A. A. Macdonell, "Vedic Grammar", 1910
  ヴェーダの専門家はもっていてもよいが,ほとんどの人には不要。最近,インドで復刊された。

5.W. D. Whitney, "A Sanskrit Grammar",1924
  著名なアメリカ人言語学者によるヴェーダ語から古典梵語まで網羅するお買い得な一冊。基本文法をマスターした人が手元において使う書として有益。ただし,古典梵語のみを知りたい人には向かない。Lanmannの読本をやる場合には,必携。

6.C. R. Lanmann, "A Sanskrit Reader with Vocabulary and Notes", 1906.
  読本として,最も薦められる書。リグ・ヴェーダからヒトーパデーシャまで幅広い時代の文章を扱う。Whitneyの文法とセットで使えば,独習も不可能ではない。

7.A. Thumb & R. Hauschild, "Handbuch des Sanskrit", 3冊本,1958-?
  ドイツ語で書かれた文法書として完結したものとしては,もっとも詳しい。ドイツ語が得意な人以外には,値段的にもお薦めできない。第3巻が読本と語彙になっている。

8.M. Mayrhofer, "A Sanskrit Grammar"(translated from the German by Gordon B. Fordm JR.), 1972
  ドイツ人学者による簡潔な文法書。手短に文法を知りたい言語学者には薦められるが,練習問題はなく,面白みに欠ける。

9.L. Renou, "Grammaire de la langue védique", Paris-Lyon, 1952
  ヴェーダから古典文学における幅広い分野で活躍した著名なインド学者による比較的簡潔なヴェーダ語文法。著者は日仏会館館長として日本に滞在経験があり,辻直四郎,大地原豊とも親交が深かった。

10.J. S. Speijer, "Sanskrit Syntax", Leyden, 1886
  古典梵語のシンタックス(統語論)としては最も詳しい。インド版は安いので,持っていて損はない。

11.B. Delbrück, "Altindische Syntax", Halle, 1888
  ヴェーダ語のシンタックスとしては最も詳しい。おそらく絶版と思われるが,ヴェーダ研究者はコピーしてでも持っていたい。

12.F. Kielhorn, "A Grammar of the Sanskrit Language, Bombay, 1912
  辻直四郎博士推薦の書。ということは,エッセンスは辻文法に反映されているので,あえて求める必要はなかろう。

13.V. S. Apte, "The Student's Guide to Sanskrit Composition", Varanasi,1881
  The Practical Sanskrit-English Dictionaryの著者として名高いApteによる文章論の解説。古典文学から多くの引用があり,文学を読む上では有益。菅沼晃らによる邦訳も東洋学論叢(東洋大学)に連載されている(完結したか否かは不詳)。

14.M. R. Kale, "A Higher Sanskrit Grammar : For the Use of School and College Students", 1894
  主にインド人の学生を対象にした,やや詳しい文典。もっぱらパーニニ文典とシッダーンタカウムディーに依拠している。パーニニ文典の入門としてはいいかもしれない。

15.T. Burrow, "The Sanskrit Language", London,1955
 印欧語比較文法的観点から記述された概説的文法。ただし,著者の創見が随所に盛り込まれており,岩本裕の言葉を借りれば,「サンスクリットを言語学的に研究した者でなければ,本書を十分に利用することは困難であり,また危険である」(岩本裕『サンスクリット文法』, p.225)という。最近,インドで復刊された。

16.A. A. Macdonell, "A Vedic Reader for Students", 1917
  リグ・ヴェーダ専門の読本。3とセットで用いれば,独習も可能。古典梵語に慣れたら,ぜひチャレンジしたい一冊。

17.K. Mylius, "Chrestomathie der Sanskritliteratur", Leipzig, 1978
  旧東ドイツの著名な梵語学者による読本。278ページの本に小さな字でテキストが詰まっている。ヴェーダ文献から詩論まで相当広い分野の文献が掲載されている。ただ解説が一言もないので,読了するのは至難。

18.J. Eggeling, "The Story of Nala", Edinburgh, 1913
  『ナラ王物語』の原文(デーヴァナーガリー)と語彙(英語)。

19.W. Caland, "Savitri und Nala", Utrecht, 1917
  『サーヴィトリー』と『ナラ王物語』の原文と語彙(ドイツ語)。テキストは全編ローマ字のうえ,複合語の区切りが明示されている。

20.Soh Takahasi, "The Tale of Nala", Hildesheim, 1994
  『ナラ王物語』の原文(ローマ字)と語彙(英語)。サンディが分解してあるうえに,動詞は変化した語形で引けるので初めて読本に取り組む人には適している。

21.Peter Scharf, "Râmopakhyâna : The Story of Râma in the Mahâbhârata, Independent-study Reader in Sanskrit", Curzon. 2003. [NEW !]
  マハーバーラタの『ラーマ物語』の読本。原文のすぐ下に単語の意味と語形の説明が書かれているので,授業では使えないが,独習者には好適。辞書を引く手間が省けるので,単語を覚えるのにも適している。

 

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